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講師の評判について

講師ばかりは、実際に受けてみなければチェックのしようがありません。参考書などを執筆している有名な先生でも、「授業は退屈でわかりにくい」と評されるばあいもありますし、「方法論が確立していて、とてもわかりやすい授業」と評判の先生でも、クラスの合格実績が伸びないばあいがあります。同じ先生でも、A予備校ではスター講師なのに、B予備校では不人気というばあいもあります(同じ予備校の校舎間で評価が開くこともあります)。「地味すぎるが、確実に問題をこなし」て、しっかり実績を出す先生もいます。第2章でも述べましたが、受講生のレベルや性格が一様ではないため、やはり講師の評判には、こうしたバリエーションが出てしまうのです。したがって、有名講師だからといって、かならずしも自分の要求を満たしてくれる先生であるとは限らないのです。

学びとご褒美

ある心理学者がおもしろい実験をしたので、紹介しておこう。ある幼稚園で、絵を描くことの好きな幼児を二十人近く集め、それを二つのグループに分けた。一つのグループには、絵を描くたびにその褒美として、子ども達の好きなもの(例えばリボン)を与え、もう一つのグループには、ただ褒めるだけで何も与えなかった。そして二か月ぐらいしてから、二つのグループを一緒にして以前と同じように絵を描かせたところ、二つのグループでは全く正反対の結果が出たのである。どうなったかといえば、なんと、褒美を与えられたグループの子ども達は、もらえなくなったら絵を描くことを止めてしまったのだ。一方何も与えられなかったグループは、以前と同じように嬉々として絵を描いたのである。この実験からいえることは、物やお金で興味を起こさせようとしたら、それを、はてしなく続けなければだめだということである。つまり自分から何かをやり出すのではなく、すべて受け身的になってしまい、本来好きだった事にさえも関心がなくなってしまうことを示している。だから、テストで100点をとってきたら100円のお小遣いという教育をしていたら、学ぶことの本当の楽しさを、いつまでたっても知らないまま過ぎてしまう。学ぶことは、テストの点数をとるためのものになってしまうのである。これでは、目標の大学に合格したら学ぶことを止め、アルバイトや遊びに夢中な学生になるに決まっている。合格しても燃えつきない学習意欲は、いくら物やお金で釣ってもだめなことをわかっていただけたであろうか。学ぶことの楽しさを、中学を卒業するまでに一度でも経験すれば、自分から問題を解決していく能動的な人間になることは間違いない。

子どもたちの学力低下

一九九〇年代から、子どもたちの学力低下が教育関係者を中心として問題となりました。それ以前に日東駒専ブームといって、東京のマンモス私大の偏差値が急上昇した時期があります。これらの学校の偏差値は急上昇しましたが、合格者の最低点には大して変化がありませんでした。つまり、受験生全体の学力が下がっていたのです。その背景には、日本は豊かなので、無理をしてトップ校に入らなくてもいいのではないかと考える親や子どもが多くなったことが影響しています。このころから、適当な学校の付属に入れて大学までエスカレーター式に卒業させ、適当な会社に就職させればよいと気楽に考える親が増えたようです。こうした事情が引き金となり、親が子どもの教育に力を入れなくなったことが、学力低下を促しているといってもいいと思います。