母性が保護される規定は、労働基準法(労基法)や男女雇用機会均等法(雇均法)によって定められている。たとえば、「生理休暇」は労基法によって85年の同法改正時に「生理日の就業が著しく困難」な時に休暇を請求できる(労基法第68条)。その請求を使用者が拒否した場合、30万円以下の罰金が科される(労基法第120条1項)。また、妊産婦(妊娠中及び産後1年を経過しない女性)は、重量物を扱う業務や有害ガスを発散する場所での業務、その他、妊産婦の妊娠、出産、保育などに有害な業務について就業制限がかけられている(労基法第64条3項)。妊娠中の業務負担の軽減や夜勤免除についても、労基法第65条、66条によって認められている。本人が請求した場合は、使用者は変形労働時間制がとられていても1日及び1週間の法定時間を超えた労働をさせてはならず、時間外労働や休日出勤、深夜業をさせてはならない。労基法に違反すれば使用者は、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる。ただ、日本医労連の委員長は「妊産婦の夜勤規制は『本人の申請があれば』という前提があるため、職場で迷惑をかけたくないと思えば言い出せず、徹底しない」と指摘する。看護管理者も法制度を知らない者もいれば、知っていても「現場が回らない」と遵守はできず、なかなか権利を行使できないのが実情だ。妊婦健診を受けるための時間の確保や通勤緩和、妊娠中の休憩などについても、本来は雇均法によって守られている。同法では、妊娠・出産等を理由にした不利益取り扱いを禁止している。たとえば、妊娠中の休暇や産前産後休業の取得、雇均法で決められている通勤緩和などの母性健康管理措置や、深夜業免除など労基法による母性保護措置を受けたことなどを理由として、解雇や降格、減給、雇用形態の切り替えなどの不利益な取り扱いをしてはならない。ただ、労基法とは違って、雇均法は罰則規定がないため、徹底されにくい問題が根強く残っている。自治労衛生医療評議会の事務局長は、「7対1看護で十分なシフトを組むことができる人員を確保できない地域や中小病院は、勤務帯を長くして16時間拘束の2交代制にしている実態もある。これでは、母性保護が守られないのも当然だ」と危機を訴える。労働基準法すら守られない職場であるからこそ看護師が姿を消し、さらに看護師が不足するという悪循環に陥っている。
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